2009年01月04日

ss20

 こうして彼と会うのは何回目だろうか?
 一ヶ月に一回くらいの割合で、一緒に食事をしてお酒を飲む。食事中は、楽しく話ができる。アルコールの力? ううん。酔ってるせいじゃない。少なくとも、私は正気。それはきっと彼も同じ。
 でも、彼が好きかって言うと、それはちょっと自信がない。
 本当に彼のことが好きなら、もっと自分からアピールしてる。
 でも、それができない。
 今の、ぬるま湯みたいな関係が心地良いのかもしれない。
 だから、前にも進めないし、後戻りもできない。
 いつの間にか、恋に不器用になってしまったみたい。
 昔は──十代の頃は、もっと簡単に恋をして、もっと簡単に好きと言えていたはずなのに。
 あの頃よりも、臆病になった? 大人になったはずなのに、子どものころよりも、自分のことがわからない。
 そう思いながらも、そこそこにきれいな服を着る。春らしく、淡い色のワンピース。夜はまだ少し寒いから、軽めのトップスをあわせる。念入りに髪をセットしていたら、いつの間にか電車の時間が近づいている。
 最後に鏡を見る。
 うん。私、大丈夫。
 十人が振り返るっていう美人じゃないかもしれないけど、彼に好きって言われるかも、って考えても良いと思う。
 今日、彼に会ったらなんて言おうか?
 彼は、なんて言ってくれるだろうか?
 ドキドキしながら家を出る。
 この気持ち、十代のあの頃よりもときめいてる。
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posted by 言人 at 22:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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